Effects of quinapril on the development of hypertension, cardiac hypertrophy and stroke in salt-sensitive Dahl rats and stroke-prone spontaneously hypertensive rats.
1993
食塩感受性Dahlラット(Dahl S)および脳卒中易発症性高血圧ラット(SHRSP)にキナプリル(10mg/kg)を反復経口投与し,高血圧発症,心肥大,脳卒中に伴う死亡率,腎障害などの血管病変に及ぼす効果をエナラプリル(10mg/kg)と比較検討した.薬物は,Dahl Sでは生後10週より20週齢まで10週間にわたり,SHRSPでは8週より19週齢まで11週にわたり,それぞれ食塩負荷と同時に投与した.(1)Dahl Sにおいて,食塩負荷により血圧は急激に上昇し,10週後では約220mmHgとなった.また,これに伴い心肥大が観察された.キナプリルおよびエナラプリルは高血圧の発症を有意に抑制し,血圧値は160mmHg以下に維持された.また,心重量の増加も両被験薬の投与により抑制された.組織病理学的検査により,Dahl Sの脳,腸間膜動脈および腎臓に見られる器質的な変化は,両被験薬投与群で減弱する傾向が認められた.また,血清クレアチニン値の上昇を,両被験薬は抑制した.(2)SHRSPにおいて,食塩負荷により血圧は4週目(12週齢)で約270mmHgまで上昇し,それ以降死亡する動物がみられ,実験期間中に20匹中19匹(95%)が死亡した.キナプリルおよびエナラプリルは高血圧の発症を有意に抑制したが,その作用はキナプリルがやや強い傾向にあった.実験期間中の死亡数は,キナプリルおよびエナラプリル投与群で,それぞれ2匹(死亡率13%)にすぎず,顕著な延命効果が認められた.以上の成績より,キナプリルは,降圧作用に加え,心肥大,脳卒中および腎障害などの心血管病変の発症の抑制を有することが示唆された.
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