仙腸関節障害に対する骨single-photon-emission computed tomography/computed tomography 検査の有用性

2021 
仙腸関節はわずかな動きを有し,脊柱の根元で衝撃吸収装置として機能している1,2).上半身の重さに耐えながら,地面から下肢に伝わる衝撃を緩和させる仙腸関節は,直立二足歩行を行う人体にとって必要不可欠な構造である.繰り返しや不意の動作で,仙腸関節に微小な不適合が生じると,仙腸関節由来の腰殿部・下肢痛が生じる.現時点ではこの関節不適合による機能障害(仙腸関節障害)をCT やMRI などの画像検査でとらえることは困難であるが,arthrokinematic approach(AKA)博田法3)やSwing 石黒法4)に代表される種々の徒手療法により,仙腸関節の動きを誘導することで仙腸関節由来の痛みが軽快する事実は,この病態の存在を裏づけている. 仙腸関節障害はone finger test で上後腸骨棘をさす腰殿部痛を有し,約半数に鼡径部痛を伴い,椅子坐位時疼痛増悪,sacroiliac joint(SIJ)shear test 陽性など,症状が非常に特徴的であり,最終的には仙腸関節ブロックの効果をみることで確定診断できる5).しかし画像所見に乏しいことから,この疾患の認知が広まるまでには時間を要した.古賀ら6)は近年,臨床的に重症と判断される仙腸関節障害例に骨single-photon-emission computed tomography/computed tomography(SPECT/CT)検査を行った結果,関節軟骨下骨で慢性的に骨代謝が亢進していることを示した.本研究では,当院の仙腸関節障害例に対して行った骨SPECT/CT の有用性を検討した.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []