早期胃癌に対するHALS (hand assisted laparoscopic surgery) 下胃全摘術の1例

2001 
患者は63歳女性で胃噴門部直下から3.5×5cmの拡がりをもつIIc+IIa様早期胃癌が認められた。EMR (内視鏡下粘膜切除術) では治療困難と判断されたので, インフォームド・コンセントのもと鏡視下手術が採択され, HALS hand assisted laparoscopic surgery下胃全摘術兼リンパ節郭清術 (Roux-en-Y再建) を行った。皮切は右下腹部に7cmの横切開 (ハンドポート用) のほか, 1.2cmの皮切を4か所に加えた。ハンドポートから挿入された術者の左手の有効な誘導により, ハーモニック・スカルペル (超音波切離装置) や各種ステイプラーを駆使して胃周囲の切離, 剥離およびリンパ節郭清 (D1) は安全に行うことができた。食道-胃切離, 胃十二指腸切離はともに自動縫合器Endo GIAを使用し, 後者には手縫いにて埋没縫合を行った。全摘された胃は7cmの切開創から取り出した。再建にはRoux-en-Y脚作製をハンドポート切開創から手縫いで行ったあと, 自動吻合器EAA (21cm) にて, 食道空腸吻合を行った。EEAアンビルは経鼻胃管を経口的に挿入して食道断端に誘導し, 装着した。手術時間は4時間35分, 総出血量は330mlで特に大きな問題は起こらず手術は終了した。術後は皮下膿瘍, 軽度の食物通過障害感が認められたものの各々容易に対応でき, ほぼ満足すべき結果が得られた。鏡視下の胃全摘術は, これまで困難とされてきたが, この方法で比較的安全に行えると思われた。
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