“古くて新しい病気”トキソカラ症―温故知新―

2021 
トキソカラ症は,イヌ回虫Toxocara(T.)canis およびネコ回虫T. cati の幼虫による幼虫移行症(larvamigrans)である.この疾患概念は,1950 年代に米国のBeaver 博士により確立された.すなわち,肝脾腫,慢性好酸球増加症,肺病変などに特徴づけられる原因不明の小児の病態を,イヌあるいはネコ回虫の幼虫包蔵卵を誤って経口摂取することより生じる内臓幼虫移行症(VLM)であることを解明したのである.わが国では,成人にも多くみられ,感染様式はむしろ待機宿主であるウシやトリの生レバーや生肉摂取によることが多い.眼球や中枢神経への移行もあり留意する必要がある.診断は,イヌやネコの飼育歴,トリやウシなどの生肉,生レバーの摂取歴,CT やMR などの画像所見,好酸球増加や幼虫の排泄分泌抗原を用いた免疫学的検査などの成績を総合して診断する.
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