Cisplatin combination chemotherapy in advanced lung cancer in the aged

1989 
肺癌に対する化学療法は, シスプラチン (以下CDDP) の開発などにより, 近年, 急速な進歩を示しているが, 老年者の進行肺癌に対するCDDP投与に関しては, 十分な検討がなされておらず, 投与法も確立していない. 我々は, 進行肺癌症例に対してCDDPを含む化学療法を施行し, 老年群と若年群を対比検討した. 65歳以上の老年者肺癌 (以下A群) 11例 (70.8±1.4歳, 男:女=10:1, 小細胞癌:非小細胞癌=2:9, 病期III:IV=5:6) および, 組織型・病期をマッチさせた65歳未満の若年者肺癌 (以下Y群) 11例 (平均53.3±1.7歳, 男:女=9:2) を対象とし, CDDP投与量は1回投与量が50mg/m2または80mg/m2で, 平均投与量はA群58.2mg/m2, Y群63.6mg/m2であった. 併用薬としては Vindesine (3mg/m2) (A:Y=9:8) もしくは Etoposide (80mg/m2) (A:Y=2:3) を用いた. 効果判定では, 部分寛解または完全寛解症例がA群9.1%, Y群27.3%で, 他は不変であった. CDDP併用療法施行後の1年生存率は, A群63.6%, Y群72.7%で両群間で有意差を認めなかった. 副作用として, 嘔吐はA群72.7%, Y群90.9%で認め, A群では下痢を18.2%で認めた. 骨髄機能に関しては, CDDP投与前においてA群で軽度の貧血を認めた. 投与後の骨髄抑制では, 極小値 (Nadir) において白血球数 (A:1,955±355, Y:1,673±272 (/mm3)), 血色素量, 血小板数ともAY両群間で有意差を認めなかった. CDDP投与後白血球数の Nadir までの期間 (A:14.2±0.6日, Y:17.5±1.0日*) はA群の方が有意に短期間であったが, Nadir より骨髄機能回復までの期間 (A:4.0±0.7日, Y:4.5±0.7日) はAY両群間で有意差を認めなかった. 腎機能では, クレアチニンクリアランスが投与前および投与後 (A:38.9±4.8, Y:70.4±6.4ml/min*) (*p<0.05) ともA群で有意に低下していた. また, 電解質異常 (A:45.5%, Y:9.1%) をA群で高率に認めた. 以上より, 老年者肺癌に対しては, 進行例についても, 腎機能・電解質異常などに配慮を加えつつ, CDDPを含む強力な化学療法を施行することが可能であり, 1年後では良好な生存率を期待し得ると思われた.
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