Negative effect of perceived transportation problems on social activities of elderly people living in a small town far from the nearest train station

1996 
交友や地域集団への参加等の社会的活動が活発な高齢者は, 保健行動が活発であり運動量が多く, 日常生活動作 (ADL) 能力の低下が少ないと報告されている. 社会的活動が減少する要因として, 体力低下等の個人的要因と交通環境等の環境要因が考えられる. 本研究では交通環境に注目し, 高齢者の生活の質を高めることをめざした. 研究の仮説は, 1人で外出可能な高齢者において, 交通環境に対して感じる問題 (交通環境の問題) が保健行動や社会的活動を抑制し, ADLの低下を加速するのではないかということである.公共交通機関が比較的不便な地域として, 地方都市近郊の神奈川県愛甲郡愛川町を選択し, 二段無作為確率比例抽出による半原地区在住の60歳以上の男女238名 (1/5抽出) を対象に, 94年3月, 郵送留置調査を行った. 回答者190名 (回収率83.3%, 転居, 死亡, 入院を除く) のうち, 一人で外出可能な人166名について, (1) ロジスティック回帰分析の結果, 男女ともに通院時にバスを利用する人はより多くの交通環境の問題を感じている. 女性では, 交通環境の利便性の問題が多いと日常の買い物頻度が減少し, 友人訪問頻度が少ないと交通環境の身体的問題が少ない, (2) 今後やりたいことは, 男性では趣味活動, 女性では友人訪問が多い. 女性のやらない理由は, 健康に自信がない, 交通が不便で外出がおっくうであることが多く, 生活の質に対する交通環境の影響は男性より大きい. (3) 男女ともに医療機関への通院・健診時に交通環境の問題を感じていることから, 健康保持増進のための外出が抑制される可能性がある. 高齢者の保健行動, また趣味活動や友人訪問への欲求を支援するために, 身体的, 利便性両面からの交通環境対策が重要と考えられる.
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