卵巣endodermal sinus tumorの1症例

1984 
卵巣endodermal sinus tumor (EST) の腫瘍捺印細胞像, 組織像, 培養細胞像について検討した. 腫瘍捺印細胞像では, 細胞質の菲薄な辺縁不明瞭な類円形, 円柱状の細胞がシート状に出現し, またN/C比大, ときに裸核状の大小不同著明な細胞が孤立散在していた. 核には大小不同著明, 核形不正, 核染色質の粗大凝集性, 核小体の肥大増加などの強い異形性がみられた. Papanicolaou染色で緑灰色に染色される無構造小体が細胞質内外に認められた. 同一標本をPapanicolaou染色, ついでPAS染色してこの小体の染色性について検討したところ, Papanicolaou染色では緑灰色に染色される小体は, PAS染色では強陽性で赤紫色に染色されることからhyaline globulesと診断された. 組織像では, 大小の多形性未分化な上皮様細胞に囲まれた網目状構造, 細血管を取り囲む上皮細胞の層よりなるperivascular formation, のう胞状構造, 充実性構造よりなるESTで, 細胞質内外に好酸性なPAS陽性の無構造小体hyaline globulesがみられた. ESTの初代培養では, 上皮細胞よりなるコロニーと線維芽細胞が認められ, 培養上清中に1,200ng/mlのalpha-fetoprotein (AFP) が検出された.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    14
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []