Alterations in Circulating Levels of Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1 in Sepsis

1997 
敗血症性臓器障害の発生には好中球-血管内皮間の相互作用が重要な役割を果たしており,とくに好中球表面のインテグリンファミリーと血管内皮細胞表面のintercellular adhesion molecule-1(以下ICAM-1と略す)の結合が重要である。最近血中にみられる可溶性のICAM-1レベルが血管内皮表面のICAM-1発現量を反映するという報告がなされた。そこで今回,敗血症患者における血中の可溶性ICAM-1(以下sICAM-1と略す)レベルを測定し,臓器障害発生との関連を検討した。対象はsepsis induced SIRS 53例で,このうち40例は臓器障害を合併し,13例では臓器障害はみられなかった。そして臓器障害合併例のうち15例は多臓器不全のため死亡した。これらの症例において経時的に血中sICAM-1レベルの測定を行い,臓器障害合併例における臓器障害発生時のsICAM-1値と,非合併例における経過中sICAM-1最高値との比較を行った。またsICAM-1を測定したものと同一検体中のinterleukin-6 (IL-6)やpolymorphonuclear leukocyte elastase (PMN-E), thrombomodulin (TM), endothelin-1 (ET-1)の測定を行い,sICAM-1値との関連を検討した.その結果,臓器障害合併例におけるsICAM-1レベルは1,040.3±495.7ng/mlで,非合併例よりも有意に高値であった(p<0.001)。また臓器障害合併例においては敗血症発生からsICAM-1値が漸増する傾向がみられた。このsICAM-1レベルの上昇に関しては,IL-6値やPMN-E値との間に明らかな相関がみられなかったことと,一方で血管内皮障害の指標であるTM値やET-1値との間に正の相関関係が認められたことから(各々p<0.01), sICAM-1レベルは血管内皮障害の程度を反映して上昇しているものと考えられた。敗血症においてsICAM-1は血管内皮障害の程度を反映し,臓器障害の発生に関与しているものと考えられた。また経時的測定を行うことによって重症度や臓器障害発生を予測する指標となり得るものと考えられた。
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