肺線維症 肺線維化の機序にかんする研究線維肺の超微形態,コラーゲン,酸性ムコ多糖の研究

1975 
肺線維症における肺線維化の機序を知るためにびまん性肺線維症患者の生検肺および剖検肺について超微形態学的検索を行ない,又結合織蛋白(コラーゲン,エラスチン)の定量を行ない,かつ結合織のground substanceであるムコ多糖の分画定量を実施し,正常肺と比較した.超微形態学的には肺線維症では肺胞I型の細胞が減少し, II型細胞の増殖がみられ,間質にはコラーゲンの増生が目だつていた.線維芽細胞の粗面小胞体は数を増し,形も大きくなり,中に無形物質がつまり更にゴルヂ体も多くなつていた.細胞表面から微細線維様物質が出てmicrofibrilとなり,更にコラーゲン線維となる過程が観察された.肺のmicrofibrilの直径は50~100Aでコラーゲン線維の直径は300~500Aで約600Aの周期性をもつ横紋構造を示していた.線維肺のコラーゲン,エラスチンの定量を行なつた.食塩および希酸可溶性のコラーゲンの量は正常肺の2倍に増量していたが不溶性のコラーゲンは余り増量が認められなかつた.エラスチンも増量が認められた.線維肺のムコ多糖を分画定量した.すなわち脱脂肺をプロナーゼで2回蛋白消化を行ない三塩化酢酸を加え,上清に食塩飽和エタノールを加えムコ多糖を得,これをカラムクロマトグラフィーにかけ分画し,更に分画したものを電気泳動を行ない,酵素消化を実施してムコ多糖の分画を行なつた.線維肺,正常肺ともにヒアルロン酸,コンドロイチンA (C),デルマタン硫酸,ヘパラン硫酸が存在するが線維肺と正常肺との大きな差異はムコ多糖の構成比で見ると,線維肺はデルマタン硫酸が16%であるのに対し,正常肺は5%で線維化の際にはデルマタン硫酸が増量することが知られた.
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