Overcoming Conflicts in the Introduction of New Medical Treatments in Modern Japan

2005 
本論の課題は,近代日本の新医療導入をめぐる相克と克服の過程を明らかにし,現代の異なる国家間における新医療導入を効率的に行うための参考とすることにある。 近代日本において新医療を導入する際に生じた問題として3点提示した。第1は,新医療への誤解や旧慣への依拠等を理由とする新医療の否定である。第2は,伝染病患者あるいは患者の近親者が,患者であることを隠すという問題である。このような行動にでてしまう理由には,病を忌避する観念により患者となることで地域社会から疎外されてしまうこと・劣悪な隔離施設に送られること・患者になると生業に影響がでること等があげられる。第3は,前近代において主流であった漢方医と新医療を用いる西洋医の対立である。 こうした3つの問題への対策を考察した上で,現代の異なる国家間における新医療導入の際に留意すべきこととして4点提示した。第1は,地域住民との軋轢を軽減し効率的に新医療導入を実施するための現地の実態調査である。第2は,現地人が主体となって新医療導入活動に取り組むこと,第3は,現地の医師が新医療導入に果たすべき役割を全うするようになるための「教育」についてである。第4は,とくに伝染病流行時における強制的対策についての配慮である。
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