Dehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)膣坐薬の薬理学的研究

1991 
dehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)を含有する坐薬を,妊娠ラットの膣内に投与し,子宮頸管熟化作用を検討した.5,10および20%(w/w)DHA-Sを含む100mgの坐薬を,妊娠14~16日目の3日間,1日1回膣内に投与し,子宮頸部の湿重量,含水率ならびに伸展性に対する作用を検討した.また子宮頸部のコラーゲン含量とコラーゲナーゼ活性の測定,および子宮頸部の組織化学的検索をあわせて行った.基剤のみを投与した対照群に比較して,5,10および20%DHA-S膣坐薬投与群では,子宮頸部の湿重量ならびに含水率が用量に相関して増加した.子官頸部の伸展性の試験では,20%DHA-S膣坐薬投与群で,一定距離を牽引した時に発生する張力が有意に減少し,また,一定張力が発生するまでに伸展する距離は有意に増加した.さらに,20%DHA-S膣坐薬の投与により,子宮頸部コラーゲン量の低下と総コラーゲナーゼ活性の上昇が見られ,また組織化学的な観察ではコラーゲン線維の粗霧化と水腫化がみられた.以上の結果から,DHA-S膣坐薬投与により,静脈内投与の場合と同様に,子宮頸管熟化作用が発現すると推察された.
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