高齢者高血圧患者におけるアンジオテンシンII拮抗薬 (losartan) とカルシウム拮抗薬 (amlodipine) の神経体液因子に及ぼす影響

2002 
高血圧や心不全に対する降圧薬の心血管系事故などに対する長期効果が見直されている. そこで長期効果や予後に重要と考えられる交感神経系, レニン・アンジオテンシン系などの神経体液因子に対する影響をカルシウム拮抗薬 amlodipine (A) と, アンジオテンシンII受容体拮抗薬 losartan (L) について老年者において比較検討した. 1年以上の長期間A薬投与高血圧患者25名 (平均年令73歳; 合併症は, 虚血性心疾患3名, 心不全2名, 糖尿病2名) を対象に, A薬 (5mg/日) からL薬 (50mg/日) に変更する前と変更後慢性期 (平均4.5カ月後) に血圧, 心拍数に加えて, 座位安静にて採血し, 血漿ノルエピネフリン, レニン濃度, アルドステロン, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) 濃度を測定した. A薬からL薬に変更する前後で血圧 (平均血圧102 vs. 101mmHg), 心拍数は不変 (74vs. 74beats/min) で降圧効果は両薬剤で差は認めなかった. A薬からL薬に変更する前後でノルエピネフリン濃度は有意に低下した (799vs. 692pg/mL, p<0.05). 又, 変更前後でレニン濃度は有意な変化は認めなかったが (33.9 vs. 21.5pg/mL), アルドステロン濃度は有意に低下した (79.3 vs. 59.0pg/mL, p<0.01). BNP濃度は変化しなかった (72 vs.71pg/ml). これらの結果より, アムロジピンは反射性交感神経系, レニン・アンジオテンシン系の亢進をきたしにくく, 心血管系事故予防効果が期待されているが, 神経体液因子の立場から見ると, アンジオテンシンII受容体拮抗薬はアムロジピンに比しより有用である可能性が示唆された.
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