Lower level of fetuin-A concentrations related to the calcification and thickening of intima media of the carotid artery in hemodialysis patients

2010 
透析患者の血管石灰化は動脈硬化を重症化させる深刻な問題である.Fetuin-A(alpha 2-Heremans-Schmid glycoprotein)は血管石灰化を抑制する作用を有し,透析患者においては栄養障害・炎症とも関与していることから,動脈硬化関連因子でもある.われわれは,血液透析患者に対し頸動脈エコーを経時的に施行し,動脈硬化の程度(石灰化および内中膜肥厚)とFetuin-A濃度との関連性について検討した.対象78例の平均年齢は59.5歳,平均透析歴は90.9か月である.頸動脈エコーは2005年と2008年に施行した.Bモードにて総頸動脈を描出した後,プラークを含めた内中膜の厚さ(intima media thickness)を測定し,両側の総和をIMTとした.また,描出範囲内での内中膜あるいはプラークの石灰化の有無を観察した.血清中のFetuin-A濃度は2008年にELISA法にて測定した.頸動脈に石灰化を保有する群では保有しない群にくらべIMTが有意に高値であったが,Fetuin-A濃度に差はなかった.次に,Fetuin-A濃度の平均値0.235 g/Lを基準として対象を2群に分け,比較したところ,Fetuin-A<0.24 g/Lの低値群のIMTの増加ΔIMTが有意に高値(p=0.022)であった.3年間に頸動脈石灰化の進展を認めた症例は18例であった.15例がFetuin-A<0.24 g/Lの低値群であり,Fetuin-A≥0.24 g/L高値群の3例にくらべると,その割合は有意に高かった(p=0.001).また,Fetuin-A濃度とIMTに相関性はなかったが,ΔIMTとは負相関(r=-0.276,p=0.014)を認めた.以上より,血液透析患者におけるFetuin-A濃度の低値が頸動脈石灰化および内中膜肥厚の進展に関与している可能性が考えられた.
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