The Pathological Study on the Extracranial Cerebral Atherosclerosis, in Comparison with the Intracranial Cerebral Atherosclerosis

1971 
脳硬塞の成因の一つとして, 欧米ではとくに, 頭蓋外頸部動脈の閉塞ないしは狭窄病変が注目されている. 他方剖検例の頸部動脈硬化の検索は, 主として内膜病変の表面積法によったものが多く, 狭窄病変の程度による比較検討は少ないようである.私たちは40才以上の剖検例84例 (脳硬塞23例, 対照61例) の椎骨動脈, 内頸動脈, 総頸動脈の硬化性病変を, Gore らの方法による表面積法と, 狭窄病変の程度による方法とを用いて検索し, とくにこれらの狭窄病変の程度を脳底部動脈硬化の狭窄病変と比較してみた.頸部動脈硬化の程度は総頸動脈, 内頸動脈, 椎骨動脈の順に高度にみられた.頸部動脈硬化の高度狭窄病変は, 脳硬塞例に対照例と比べて高頻度に存在したが, 同時に脳底部動脈硬化の高度狭窄病変も, 脳硬塞例に高頻度にみられた. すなわち頸部動脈硬化が顕著な症例においては, 脳底部動脈硬化もまた著明であった.狭窄病変の程度により, 頸部動脈硬化と脳底動脈硬化を比較すると, 私たちの84例では脳底部動脈硬化が強い傾向がみられた. 以上の結果を綜合すると, 本邦においては, 脳硬塞成因における頸部動脈硬化の意義は, 欧米ほど明らかにし得なかった.頸部動脈硬化の狭窄および閉塞病変を組織学的に検索すると, 分岐部における内膜深層の粥状物質の集積, それに基づく内膜出血, また内頸動脈サイフォン部における石灰沈着が重要であると思われる. 遊離血栓による塞栓症をある程度示唆する所見も得られたが, 剖検後の検索のみからでは, それを証明するのは困難であった.
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