[Histological observations on the structure of the bundle bone at the inner wall of human alveolar bone (author's transl)].

1979 
口腔外科領域における歯槽骨ならびに顎骨に関連する種々の疾患の成立や原因の解明に当たっては, 顎骨の構造上の特徴や性格を把握し, それらの知識をもとに種々の検討を加えることも重要である。しかし, 歯槽骨をはじめ顎骨の構造に関しては, 今なお不明な点が多い。著者はこのような観点から, 歯槽骨ならびに顎骨の構造について検索する研究の一端として, 今回は歯槽骨内壁における線維骨の正常構造について観察した。材料として, ヒトの下顎小臼歯および第1大臼歯部の歯槽骨を用い, 光学顕微鏡走査ならびに透過電子顕微鏡により観察を行った。線維骨には, シャーピーの線維が存在する領域と存在しない領域がある。線維骨は層板骨における基本構造と同様, 明瞭な層板構造を示している。層板内の線維は, 隣接する層板の線維と直交する方向に配列し, それらの層板が交互に配列している。線維骨にシャーピーの線維が埋入されることによって, 線維骨の基本構造は変化し, 層板構造が不明瞭になるとともに, 線維の配列状態も不規則になる。シャーピーの線維が存在する領域では, 基質線維が主としてシャーピーの線維に対して直交する方向に配列することは同じであるが, 基質線維は蛇行や彎曲を示し, 各種方向に不規則に交錯した状態となる。基質およびシャーピーの線維における石灰化の程度は部位によって異なり, 結晶沈着の密な部分と疎な部分とが存在する。特に, シャーピーの線維には, 石灰化した部分のほかに, 未石灰化の部分が存在する。結晶が密に沈着している部分は, 酸によって溶失し, 結晶沈着の疎な部分および未石灰化の部分は酸によっても溶失せずに残存する。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    1
    Citations
    NaN
    KQI
    []