欠陥ペロブスカイ卜型酸化物La1-xSrxCoO3-δの酸素収脱着挙動と酸化触媒能

1985 
欠陥ペロブスカイト型酸化物触媒La1-xSrxCoO3-δの高い完全酸化活性発現およびストロンチウム置換による活性変化の原因に関する知見を得る目的で,酸素の昇温脱離ブタン酸化反応および水素パルス反応を行なった。昇温脱離実験から,この系からの脱離酸素にはα,βの2種があり,その量はxとともに増加し,ほとんどが格子内に収着していることが明らかとなった。α酸素はAサイトの部分置換によって生ずる酸素空孔に収着した酸素で,β酸素はBサイト金属の低原子価への還元に対応する酸素である。収着酸素の水素パルスとの反応性は格子酸素より高く,また収着酸素のうちでもα酸素の方がβ酸素より活性である。ストロンチウム置換量によるH2パルスとの反応性の変化を調べたところx=0.4で最大となり,ブタン完全酸化活性の序列と一致した。これらのことより,収着酸素,とくにα酸素が触媒作用と密接に関連しており,そのような酸素種を多量に格子中に含むことがペロブスカイト型酸化物の高活性の一つの原因と推測される。ストロンチウム置換による活性の変化は,酸素空孔の形成(α酸素量の増力)と酸素の反応性の低下の二つの効果に由来しており,それらをうまく制御することが触媒としての立場から重要と考えられる。
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