Research on the Deteriorated Microfilms Stored at the Central Library of Kyushu University and Analysis for Long-term Preservation

2010 
† なかお やすろう 九州大学附属図書館利用支援課資料サービス係 E-mail: nakao@lib.kyushu-u.ac.jp 1. はじめに 九州大学附属図書館中央図書館(以下,中央図書館) には,マイクロ資料室(以下,資料室)がある.約 20 台のマイクロキャビネットが設置されており,部屋の 面積は 67 平方メートルである.九州大学が,過去,大 型コレクションで購入したマイクロフィルム,本学所 蔵の貴重書等の資料を撮影した原本代替マイクロフィ ルムをはじめ,多数の希少なマイクロフィルムが保管 されている.(図1) 資料室に入室してみるとわかるが,部屋全体に酢酸 臭が漂い,直観的に劣化したマイクロフィルムが存在 していることが窺える.ただし,これまで劣化状態が 客観的に把握しにくいこともあって,問題が先送りさ れていた. 平成 20 年度,九州大学附属図書館(以下,当館)で は,「資料保存のためのガイドライン」(以下,ガイド ライン)の作成を行っている [1] .ガイドラインは, 総じて各媒体全般に亘る,総括的な保存に関して理想 とされる水準について総括的に整理したものである. マイクロフィルムに関しても一般的な要件が記述され ている. また,資料の保管に関しては,資料室自体の環境と いう面もある.マイクロ資料の保管には,紙資料の保 管に一般的に理想とされる温度 22°C,相対湿度 55%と は異なる保存環境が必要とされる.しかし中央図書館 の老朽化したインフラにおいてそれを実現するのは現 実的に難しい.資料室には空調設備はあるものの,通 年を通して温湿度管理されている訳ではない.温湿度 の記録も採っていない.過去,管理を試みた時期があ ったかもしれないが,平成 21 年度時点においてマイク ロ資料保管に関連する情報は継承されていない. そのような状況に長期間,放置されてきたマイクロ 資料について,今回,その劣化状態の把握を試みたの で報告する.
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