Antitumor activity of lignin

当教室における多年の研究はウ ィル スの誘発 と代謝 異常の問に密接 な関係があ ることを示 してい る,6>近 年発癌におよぼす ウ ィルスの影響が注 目されて きてお り,こ の見地 か らす ると腫瘍 の発生お よび抑制 もまた 細胞代謝に深い関連 をもつことが考 えられる.笹 は古 くか ら強壮剤 などとして種 々の好影響 を与えることが 経験的に知 られてい る.こ れ を用いて異常代謝の方面 か ら腫 瘍の増殖抑制 を試みた.笹 の 多糖類がsarcoma 180に たいして抑制力を もつて いることが 酒井 ら,3) によつて報 告 されてい る.酵 者 らはこれ とは別 に笹葉 の アル カリ抽 出液中か ら制癌作用 を有す る物質 を探 索 した.こ のアル カ リ抽出液を硫安で分画 し,酸 性 白土 に吸着 させ た ものに腫瘍抑制作用があ り,こ の ものは 少量の蛋白態窒素 を含有す るにす ぎないに もかかわ ら ず 銅一フ ォリン反応で 強い着色 を示 した.銅 一フォリン 反応はフェノール化合物 と反応 して 駐色す ることが知 られているので この分面 中に多量の フェノール化合物 が存在す ることが考え られ る.著 者 らはこの フェノー ル化合物が アル カリ可溶性の リグニンであ るこ とを推 定 し,塩 酸一ブ タノール法 によ りリグニンに とむ分画 を抽出し,こ の ものが顕著な腫瘍抑制作用 をもつこと を確認 した.