子宮頸部細胞診に異型腺細胞を認めたserous cystadenoma of low potential malignancyの1症例
1988
上皮性卵巣癌の症例で, 治療前の子宮頸部細胞診で腺癌細胞を認める頻度は10%前後であり, それほど高率ではない. さらに, 10w potential malignancy (LPM) の症例で, 子宮頸部細胞診に異型腺細胞を認め, LPMが疑われることは非常にまれである.本症例は27歳の主婦で, 術前の子宮頸部細胞診でLPMを疑われ, 開腹によりserouscystadenomaofLPMと診断された. 細胞診所見は, 背景がきれいで, 細胞はまりも状の集塊をなしていた. 核は円形または楕円形で, 核クロマチンの増量や核縁の肥厚を認めたが, 大小不同は少なく, 核小体は目立たなかった. 細胞質はやや厚く, 一部には空胞を認めた. これらの所見より, 子宮以外のおそらく卵巣由来の異型腺細胞と考え, また, 異型性が比較的軽いことからLPMが推定された.
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