氷温(0℃以下,凍結直前の温度)による心保存の心機能に及ぼす効果

1990 
氷温保存とは0℃以下のマイナス未凍結温度領域で物質を保存する方法である.今回,われわれはラット摘出灌流心を用いて氷温による心保存の心機能に対する影響を検討した.Working heart法で好気的灌流を行い心停止前値を測定し,次いで心停止液を用いて心停止とし保存液中に4時間単純浸漬保存した.4時間保存後,好気的再灌流を行った.保存液,心筋温を4℃ (4℃群)と氷温(0℃;氷温群)に分けて比較検討した.心機能は回復率を求め平均±S.D.で表示した.Cardiac outputの回復率は4℃群33.5±16.7%,氷温群62.5±10.5%を示し,4℃群に対して氷温群は有意に良好な回復を示した(p<0.01).心筋内ATPは,心保存4時間後4℃群13.9±3.01μg/mg,氷温群18.7±1.48μg/mgを示し,4℃群に対して氷温群は有意に高く保持された(p<0.05).以上より得た結論は1)氷温群は,4℃群に比し,再灌流時に良好な心機能の回復を示した.2)心筋内高エネルギーリン酸化合物は氷温群で有意に高く保持された.3)したがって心臓保存において,保存時間の延長,保存後の良好な心機能の維持にとって氷温保存は有用であることが示唆された.
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