Urinary incontinence in elderly patients in the chronic stage of stroke

1995 
リハビリ病院入院の高齢慢性期脳卒中患者を対象に, 排尿障害に関する調査を行った. 対象は60歳から94歳まで (平均74±8歳) の男性51名, 女性55名の計106名である. 尿失禁が常にある患者は53%, 時々あるは12%, 尿失禁が全くないは31%であった. 留置カテーテル使用は4%あった. 尿失禁がある例のうち, 9%は尿意を訴えていたが, 12%は尿意が不確実, 43%は尿意を訴えなかった. 55%は常におむつを使用し, 10%は夜間など場合によりおむつを使用. 脳梗塞患者 (72%), 脳出血患者 (61%), くも膜下出血患者 (67%) いずれも高い頻度で尿失禁が認められ, 病巣側では右側病変患者の72%, 左側病変患者の62%, 両側性病変患者の74%に尿失禁が認められた. 脳梗塞患者では, 皮質枝梗塞84%, 穿通枝梗塞68%, 両者合併78%の頻度で, また脳出血患者では, 脳幹出血80%, 視床出血67%, 被殻出血46%, 小脳出血50%, 皮質下出血100%の頻度でそれぞれ尿失禁が認められた. 75歳以上 (p<0.05), 痴呆 (p<0.005), ADL低下 (p<0.001) 患者では有意に尿失禁の頻度が高かったが, 男女間では女性にやや多いものの有意差には至らなかった (p=0.05). 慢性期脳卒中高齢患者の尿失禁には, 脳血管障害による膀胱機能障害の他に, 年齢, 知的機能, ADLなども影響していることが示唆された.
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