光学活性サイクレンを配位子とするコバルト(III)錯体による分子認識-(α-アミノ-α-メチルマロナト)((2R,5R,8R,11R)-2,5,8,11-テトラエチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)コバルト(III)過塩素酸塩.四水化物の結晶構造とその不斉脱炭酸反応-

1987 
光学活性な12員環テトラミンを配位子とするコバルト(III)錯体[1]はα-アミノ-α-メチルマロン酸(AMM)と反応し,相当するAMM錯体[2]を単一生成物として与える。その構造をX線結晶解析により決定した。用いたプリズム形結晶は単斜晶系,空間群P21,α=13.985(6),b=11.768(13),C=9.626(3)A,β=108.36(3)°,U=1504(2)A3,Z=2である。[2]はシス形八面体構造で,12員環は折れ曲がり[1]の基本骨格が保持されている。AMMはそのpro-Rのカルボキシル基とアミノ基とで,β-形に配位しており,新たに生じた不斉中心の配置はRであった。非配位pra-Sカルボキシル基は配位子の第二級アミンの一つと分子内水素結合をつくっている。このように,[1]はいわゆる三点結合によってプロキラル中心を確実に認識したことを示している。つぎに[2]の脱炭酸反応を行ない,得られたアラニナト錯体のR:Sの比は28:72であることを認めた。さらにアラニナト錯体からアラニンを遊離させ,得られたジアクア型錯体をHBrで処理し, 出発錯体として回収するとによって,より温和な反応条件下でアラニン不斉合成のサイクル化が可能になった。
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