DOUBLE COLORECTAL CANCER WITH A TUMOR THROMBOSIS IN THE INFERIOR MESENTERIC VEIN (IMV) : REPORT OF A CASE

症例は68歳,男性.主訴は貧血・血便であった.近医で注腸X線検査を施行し, S字状結腸癌の疑いで当科入院した.入院後,大腸ファイバーを施行し, S字状結腸に3型病変,直腸に1型病変を認め,生検で腺癌と診断され,手術を施行した.他臓器転移はなかった.開腹所見ではN0, H0, P0であった.腫瘍直下から連続して,下腸間膜静脈周囲に硬い索状物を認め,迅速病理の結果腺癌の浸潤と診断された.低位前方切除術を施行し,索状物も含めて腫瘍部位は完全に切除しえた.病理学的所見ではS字状結腸癌はa2, n2, 直腸癌はmp, n0で両者とも中分化腺癌であった.下腸間膜静脈内に腫瘍塞栓を認め,血管外浸潤も認めた.現在術後30カ月経過したが,再発の徴候なく存命である.非常に稀な進展様式であるため,術前検査では発見し難く,手術の際にも腫瘍栓を遺残,遊離させないよう注意が必要である.