核酸の酸化損傷に起因する神経変性の分子機序―8-オキソグアニンはDNA修復反応に依存して神経変性を引き起こす

2013 
多くの神経変性疾患では,核酸塩基のなかでもっとも酸化されやすいグアニンの主要な酸化体である8-オキソグアニン(8-oxoG)が多量に蓄積することから,8-oxoG が神経変性に関与する可能性が示唆されていた.著者らはHuntington 病や網膜色素変性症のモデルマウスの解析から,8-oxoG が神経変性を引き起こす分子機序を明らかにした.酸化ストレス下の細胞ではDNA 中のグアニンよりヌクレオチドプール中のdGTP がより酸化されやすく,生じた8-oxo-dGTP は複製に伴ってゲノムDNA に取り込まれる.神経細胞ではおもにミトコンドリアDNA に,一方,ミクログリアでは核DNA に8-oxoG が蓄積する.複製の過程で鋳型DNA 中の8-oxoG に対して取り込まれたアデニンはMUTYH で切り出されるが,その修復過程で一本鎖切断が過剰に生成される.その結果,ミトコンドリアDNA の分解や核内でのPARP の活性化を介して2 つの異なるプログラム細胞死が起動され,神経変性が進行する.
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