テトラシクロ[6.2.1.13.602.7]ドデカンを原料とするジメチルアダマンタンの合成

1986 
1,3-ジメチルアダマンタン(DMA)は二つの官能基をもつ合成中間体の原料として,有用である。石油化学製品を出発原料とするDMAの新しい合成法を探索した。その結果,DMAの新しい合成経路として,エチレンとシクロペンタジエン(CPD)から容易に合成されるノルボルネン(NB)とCPDを出発原料とする方法を見いだした。まず,NBとCPDから,Diels-Alder反応によって,四環式化合物であるテトラシクロ[6.2.1.3,6. 02,7]ドデク-4-エン(TCDD-ene)を合成(230℃収率78%),ついで,二重結合を水素化し,テトラシクロ[6.2.1.3,6. 02,7]ドデカン(TCDD)を合成し,DMAへの水素化転位反応原料として用いた。TCDDの水素化転位反応において,金属(Pt-Re-Ni)担持希土類交換Yゼオライト触媒は,H-HCl(5%)混合ガスの共存下で,高活性(250℃転化率99%,アダマンタン類収率66%)を示した。TCDDのひずみエネルギーは,アダマンタンへの転位反応原料に用いたトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(TCD)よりも大きいにもかかわらず,本反応において,アダマンタン骨格への選択性が高かった。中間体として,生成する三環式飽和炭化水素のひずみエネルギーが,TCDのひずみエネルギーよりも小さく,中程度であることが,アダマンタン類への選択性が増大した原因であると推定した。
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