Analysis of Social Relationships for Transferring Farmland Rights in a Large-Scale Upland Farming Area, Hokkaido

2009 
本稿は大規模畑作地帯を事例に,大規模化の基盤である農地移動が農業者のいかなる社会関係のもとに展開するのかを分析し,大規模畑作地帯の形成過程を明らかにすることを目的とした.具体的には,農業者のもつ複数の社会関係を社会的ネットワーク分析における多重送信-単一送信の視点から考察した.研究対象地域は北海道音更町大牧・光和集落とした.対象地域における農地移動に関わる社会関係は,集落と中音更地区内での地縁に加えて小中学校を介した交友関係や血縁,公的機関を介したより広範囲にわたるものであった.多重送信的関係は農地移動に関わる社会関係の基盤となり,安定的な大規模経営の維持に寄与していた.一方で,さらなる大規模化を図る農家は単一送信的関係を活用し,集落という地域単位を越えた広い範囲で農地を集積していた.その結果,さらなる経営耕地面積の拡大が可能となり,大規模畑作地帯が形成された.
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