Clinical Study of Parotid Tumors
1999
耳下腺腫瘍は画像診断法の進歩や, 耳鼻咽喉科, 頭頸部外科医の耳下腺腫瘍に対する認識の向上などで, 近年増加傾向にある. 今回我々は, 当教室20年間の耳下腺腫瘤の変遷および臨床統計の検討を行った. 対象は1977年1月から1996年12月までに耳下腺腫瘤に対し外科的治療を施行された633例である. これを前期10年間と後期10年間に分けて検討した. 病理組織分類ではWarthin腫瘍の症例数が前期に比べ後期では増加傾向を示した. 一方mucoepidermoid carcinomaは以前の報告に比べ約4分の1の発生率であった. 腫瘤の存在部位としては, 良性疾患の場合浅葉に存在するものが多いが, 悪性疾患の場合両葉にまたがって存在するものが多く認められた. 随伴症状としては, 顔面神経麻痺や疼痛をきたしているものは, 悪性疾患に多く認められた. 術前の顔面神経麻痺は, 良性・悪性とも術後改善を認めなかった. 術後合併症としての顔面神経麻痺やFrey症候群は, 良性で17.8%, 悪性で18.3%であり, いずれも他の報告と比べ低率であった.悪性疾患の予後については, 1985年から1994年までの10年間の症例について検討した. 5年生存率は76.1%で他の報告と比べ良好であったが, 死亡症例がいずれもhigh grade malignancyであり, 今後これらの制御が5年生存率を向上させる要因であると推察した.
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