卵巣腫瘍におけるEpithelial Membrane Antigen (EMA) の免疫細胞組織化学的検討

1987 
卵巣腫瘍より得られた病理組織標本, 腹水細胞標本を酵素抗体問接法を用いてEpithelial Membrane Antigen (EMA) の局在を検索し, 組織別陽性率, 組織分化度による局在部位の差などにつ いて比較し, 酵素抗体法の細胞診領域への応用性について検討した.検索した上皮性卵巣腫瘍は漿液性嚢胞腺癌37例, ムチン性嚢胞腺癌18例, LPM (low potential malignancy) として漿液性嚢腺腫2例とムチン性嚢腺腫4例, 漿液性およびムチン性嚢腺腫8例, 正常卵巣3例の計72例であった.細胞診標本は腹水細胞診陽性例のもので, 漿液性嚢胞腺癌18例, ムチン性嚢胞腺癌10例にっき, EMA再染色を施行し, 以下の結果を得た.1. 組織でのEMA陽性率は悪性群が最も高く, 次いで中間群, 良性群の順であった.2. 漿液性嚢胞腺癌とムチン性嚢胞腺癌の組織でのEMA陽性率は前者が100%, 後者は77.8%であった.3. 組織分化度とEMA陽性部位については, 漿液性嚢胞腺癌, ムチン性嚢胞腺癌ともに高分化型のものはluminalに, 低分化型のものは細胞膜全周~ 細胞質に局在が認められた.4. CEA, hkp, CA125のマーカーとの比較では, 漿液性嚢胞腺癌ではEMAとCA125が, ムチン性嚢胞腺癌ではCEAが高い陽性率を示した.5. 腹水細胞診におけるEMAの陽性部位は漿液性嚢胞腺癌, ムチン性嚢胞腺癌ともに細胞膜全周~ 細胞質全体において (++) の強陽性に認められた.以上のことからEMAは漿膜性嚢胞腺癌やムチン性嚢胞腺癌の診断および悪性度の判定について有用であり, 細胞診自動化への応用の可能性も示唆された.
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