加圧-加熱溶融の後, 放射線処理した徐放性薬物-タンパク質複合体の試作とその特性
1982
薬物-タンパク質粉末混合物を100kg/cm2の圧力下で加熱溶融の後, 放射線照射によって橋かけ構造をもっ複合体を試作した. ペプシン酵素を含む緩衝液 (pH1.8) を用いてγ-グロブリン複合体を消化 (分解) させながら, その複合体からのテストステロンの放出特性を調べたところ, 試験開始後8日目での薬物の累積放出量は加圧-加熱溶融複合体系が約90%であるのに対し, 照射複合体のそれは約67%であった。したがって, 薬物の放出は酵素消化系の場合, 放射線照射によって抑制される傾向を示すことがわかった. また, 照射した担体のペプシン消化はタンパク質の種類及び起源によつて著しく異なった. 例えば, ヒトアルブミン結晶とヒトアルブミン凍結乾燥系は照射によって消化が加速され, 逆に牛アルブミンとγ-グロブリン系は消化が抑制された. 更に, 卵アルブミン系のように消化が照射に影響されない場合も観察された. これらのタンパク質複合体からのテストステロンの放出は, 上述した担体の消化性とよく対応することがわかった.
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