Cut-off pointの高い再生セルロース膜ダイアライザーの特性と臨床効果

1986 
我々は, キュプロファン膜と同様の再生セルロース膜でありながら, キュプロファン膜に比べて明らかにcut-off pointの高いダイアライザーTAF08Wを使用して, 従来のダイアライザーとの物質除去パターンを比較検討した. また, 透析困難症例の透析中に見られる症状の改善についても検討した. 通常の血液透析で透析中に不均衡症候群を呈する9症例に従来のダイアライザーよりcut off pointの高いダイアライザーを用いた. 平均年齢は60.0±9.7歳, 平均透析期間は6.8±3.1年である. ダイアライザーは再生セルロース膜の従来のものよりもcut-off pointを高くしたテルモ社製TAF08W, 従来のダイアライザーとしてTE10W, Neo 10を使用した。 これらのダイアライザーにより得た濾液をゲルクロマトグラフィー, 7.5-20% SDS-電気泳動, 二次元電気泳動にて分析した. ダイアライザーTAF08Wを従来のダイアライザーTE10Wと比較すると, ゲルクロマトグラフィーでは最大分子量分画および中分子量分画の除去量に差異を認め, TAF08Wに明らかな除去量の増加が見られた. 小分子量物質には差を認めなかった. SDS-電気泳動では, TAF08Wは67,000以下で3-7本のバンドを認めた. TE10Wはバンドを認めなかった. 二次元電気泳動では, TAF08Wはアルブミン, β2-ミクログロブリンを確認した. 透析中血圧低下を認める患者にそれぞれ3ヵ月間使用したときTAF08Wに変更後, 9症例中8症例に血圧低下症状の改善が認められた. 従来のキュプロファン膜ダイアライザーと同一膜素材でcut-off pointのみを高くしたダイアライザーでは, 中分子量物質以上の分子量の物質の除去量に増加を認めた. また, 透析中の血圧の安定性にすぐれていた.
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