化学的に見たdopamine,およびそのアゴニスト,アンタゴニストと受容体の相互作用

2009 
Schizophreniaの主たる症因はdopamine伝達の異常亢進であるという仮説の下に,抗精神病薬としてdopamineアンタゴニストや部分アゴニストの投与で治療が行われている。神経伝達物質,およびそのアゴニスト,アンタゴニストと受容体の相互作用は鍵と鍵穴の関係とは遠く,限られた原子間の化学的相互作用であり,両者の主たる結合力はリガンド分子中のアミン部位(塩基点)と受容体(酸点)の酸・塩基反応である。リガンドの塩基点の塩基性の強弱に加えて,分子中にdopamineのアゴニストとして化学上の条件の有無を考えることにより,全ての抗精神病薬の薬理作用は統一して合理的に理解できる。第一世代の抗精神病薬はcatecholamineより強い塩基性を示す第三級アミンを作動点とする完全なアンタゴニストである。Aripiprazoleを含む全ての第二世代の抗精神病薬は,分子中に複数の塩基点を持ち,より強い塩基点はアンタゴニスト,弱い塩基点はアゴニストとして作用する部分アゴニストである。上記のような整理は,抗精神病薬の薬理作用に基づく統合失調症の仮説の展開においても重要であると思われる。 Key words :dopamine, dopamine agonist, antipsychotics, chemical interaction, molecular structure
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