Recovery of trapezius muscle paralysis in neck dissection in which the spinal accessory nerve was preserved
2008
副神経を保存した保存的頸部郭清術においても,鉤などの術中操作により術直後はその多くに副神経麻痺が生じている。今回は副神経支配の僧帽筋が最も関与する上肢自動外転角度を計測し,僧帽筋麻痺の程度,回復過程を評価した。副神経を保存した保存的頸部郭清術10例を術後2ヶ月以内でみると,上肢外転角度100度未満の重度の僧帽筋麻痺4例,100~150度未満の中等度の麻痺3例,150度以上のほぼ麻痺のない3例であり,様々な程度の僧帽筋麻痺に分かれた。これは術中の副神経の牽引操作や電気メスなどの影響によって,副神経損傷の程度にばらつきが生じるためと考えられた。術後6ヶ月前後では,全例150度以上に上肢外転角度は改善した。副神経を保存した頸部郭清術においても,一過性の副神経麻痺を来たしている可能性が高く,僧帽筋麻痺による肩関節,肩甲帯の癒着性関節包炎を避けるために,副神経障害の程度に応じたリハビリテーションが必要である。
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