経口避妊薬(Anovlar)による薬剤性肝傷害の1例

1977 
本邦では経口避妊薬がまだ試用の段階である為,同剤による肝傷害の報告例は少ない.34歳の女性で,経口避妊薬Anovlarを膿用中,第1サイクルの終了間際に全身の皮膚掻痒と黄疸が出現した症例を経験した.患者は,反復性妊娠性黄疸の既往はなく,臨床検査成績では直接ビリルビン優位の著明な高ビリルビン癒症とアルカリフォスファターゼ活性値の軽度上昇を認めるも,トランスアミナーゼやその他の肝機能検査はほぼ正常範囲内で,急性肝内胆汁うっ滞症の病態を呈した.第42病日の肝生検では,小葉中心像の胆汁うっ滞,肝細胞とKupffer細胞内の胆汁色素沈着,毛細胆管の胆栓などが認められるが,しかし肝細砲壊死,炎症性反応,胆管増生,線維増生などの所見はみられない.光顕的には,他のステロイドホルモンの場合の肝傷害時にみられる所見に殆ど類似している.またAnovlarを添加抗原としたリンパ球幼若化試験は陰性で,同剤による直接的肝傷害性が推定された.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    32
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []