22q11.2 欠失症候群―精神・身体・知的の3 障害の統合的支援

2017 
周産期・小児期医療の発展による生命予後の改善により,CSHCN,すなわち慢性疾患により医療サービスをより多く必要とする小児が,思春期・成人期を迎えることが可能になった.22q11.2 欠失症候群(国の指定難病203)はDiGeorge 症候群(DGS),口蓋心臓顔面症候群(VCFS),円錐動脈幹異常顔貌(CTAF)症候群を含み,心奇形,顔面異常,胸腺低形成,口蓋裂,低カルシウム(Ca)血症などを併存する遺伝的症候群である.先天性の身体障害・知的障害の併存に加え,思春期以降に高率に統合失調様症状を体験する.精神・身体・知的の3 障害が,それぞれ軽重の個人差を持って重複することから,当事者や家族が抱える生活上の困難は多様で変化に富む.複合的な困難に対して,個別の障害を念頭においた既存の定型的な支援はしばしば不十分である.CSHCN のトランジションをめぐる課題や,重複障害を抱える人に必要な生活や人生の包括的な支援体制についての課題を整理し,研究や実践の向かうべき方向性を構想するうえで,22q11.2 欠失症候群はひとつのモデルと位置づけることができる.
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