Traxanox sodiumのI―IV型アレルギー反応に対する作用 ―抗アレルギー薬に関する研究(第VII報)―

1982 
traxanox sodium は DNP-Ascaris を抗原として用いたラット48時間PCAを1~10mg/kgのp.o.および0.1~0.5mg/kgのi.v.投与で用量に依存して抑制し,受動感作ラット・アナフィラキシー性気道収縮反応を0.025~0.lmg/kgのi.v.投与で抑制した.traxanox sodiumのこれらの効力はdisodium cromoglycate(DSCG)より強く,特に気道での差が著しかった.抗egg albuminおよび抗DNP-AscarisラットIgE様抗血清を用いたOrrらの二重感作PCA法の結果から,traxanox sodiumはDSCGと同様,抗原抗体結合を直接阻害せず,抗原抗体反応が起きた後からchemical mediatorの遊離が開始されるまでの段階で抗アナフィラキシー作用を示すものと推定された.in vitroでtraxanox sodium(0.1~1mM)は低張圧溶血を抑制せず,補体依存性の免疫溶血反応を抑制することから,抗補体作用を有することが推定されたが,in vivo(100mg/kg p.o.,5mg/kg i.v.)でモルモットのForssman anaphylaxisを抑制しなかった.ラットのdirect passive Arthus reaction(DPAR)の初期相およびArthus相をtraxanox sodiumは50~250mg/kgのp.o.投与で用量に依存して抑制し,またラットのhyperacute実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の発症を25~250mg/kgのp.o.投与で遅延させ,EAEによる死亡率を低下させた.DSCGは両反応に対して無効であった.以上の成績から,traxanox sodiumはI型アレルギー反応をDSCGと同様の作用機作で抑制し,特に気道アナフィラキシーに対して強い作用を示すことがわかった.また,traxanox sodiumはIIIおよびIV型アレルギー反応に対しても有効なことから,DSCGより広い抗アレルギー活性を有することが示唆された.
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