各種肝疾患における尿中epidermal growth factor測定の臨床的意義

1989 
各種肝疾患患者の尿中epidermal growth factor (EGF)をRIA法を用いて測定し,その臨床的意義を検討した.急性肝炎群の回復期(GPT 200IU/l),慢性非活動性肝炎,慢性活動性肝炎,代償性肝硬変,非代償性肝硬変,肝細胞癌の各群では対照群との間に有意差は認められなかった.また急性肝炎群における尿中EGF値と血中総ビリルビン値との間には負の相関関係が認められた.さらに,経時的に尿中EGF値を測定し得た急性肝炎例の検討では,急性肝炎の回復にしたがって尿中EGF値は上昇し,一部の症例では正常域以上に高値を示したことから,尿中EGF値が,急性肝炎における回復・再生過程を反映している可能性が示唆された.
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