千葉県における急性肺障害 (ALI) /急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) に関する疫学調査 ―人口当たりの罹病率および転帰に関する多施設前向き共同研究結果―

2007 
目的 : 千葉県の救急・集中治療施設における急性肺傷害 (acute lung injury; ALI) /急性呼吸急迫症候群 (acute respiratory distress syndrome; ARDS) の発症率, 治療, 転帰等について調査し, population-basedのALI/ARDS発症率を推計する。研究デザイン : 多施設共同前向きコホート研究。セッティング : 千葉県内の3次救急医療施設および大学附属病院を中心とする12施設のICU。方法 : 2004年10月1日~12月31日までの3ヵ月間の全ICU入室患者を対象に, SIRS (systemic inflammatory response syndrome), ALI/ARDSをスクリーニングした。ALI/ARDSの診断基準は, 1994年のAmerican-European Consensus Conferenceの定義を用いた。調査票を用いてALI/ARDS患者の背景病態, 原因, 重症度, 合併臓器障害, P/F比, 人工呼吸器装着の有無, 各種治療, ICU在室期間, ICU退室時および28日後の転帰等を調査し検討した。結果 : 調査期間内に1,632例が登録され, このうちSIRS症例は770例 (47.2%), ALI/ARDS症例は79例, 発症率は全症例の4.8%, SIRS患者の10.3%であった。ALI/ARDS症例の平均年齢は64.0±17.1歳, P/F比は平均150.7±70.6で, P/F比300-201の症例が19例 (24.1%), 200以下のARDS症例は60例 (75.9%) であった。入室時APACHE IIスコアは24.7±8.9, SOFAスコアは8.8±4.3, 肺以外の臓器障害数は2.2±1.4臓器であった。ALI/ARDS79例中71例が人工呼吸管理を要し, これら症例のventilator free days (VFD) は平均12.1±10.6日であった。ALI/ARDS症例の平均ICU滞在日数は18.8±9.6日, 28日生存率は68.4%であった。結論 : これらのデータから推計すると, 千葉県におけるALI/ARDSの発症率は人口10万人当たり年間6.1人であった。
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