最新原著レビュー:症候性肘外反不安定性をもつ野球選手の肘関節内応力分布変化―computed tomography osteoabsorptiometry 法を用いた解析

2017 
目 的:野球選手の肘尺側側副靱帯(UCL)損傷が与える関節内応力に関してはいまだ不明な点が多い.Computed tomography osteoabsorptiometry(CTO)は,複雑な投球動作を再現することなく軟骨下骨の骨密度を計測することで,長期の関節内応力を類推できる方法である.本研究の目的は,① 無症候性投手および症候性UCL 不全投手の肘関節軟骨下骨骨密度を計測すること,② 軟骨下骨骨密度からCTO を用いた応力分布変化を検討することである. 対象および方法:対象は大学硬式野球部に所属する無症候性投手12 例,症候性UCL 不全投手12 例とした.対照群は野球経験のない健常ボランティア7 例(平均年齢20.7 歳)とした.CTO を用いて上腕骨遠位関節面4 領域,尺骨橈骨関節面5 領域における軟骨下骨の高密度領域を検討した. 結 果:無症候群と症候群では,上腕骨前外側,後内側,橈骨頭,尺骨後内側に高密度領域が多かった.症候群では無症候群に比べ,上腕骨前外側(平均36.3%,95% CI 31.9~40.7%),尺骨前外側(平均31.7%,95% CI 24.3~39.1%)が有意に高かった(p=0.047,p<0.0001). 考 察:症候性UCL 不全は,上腕骨小頭前外側と肘頭前外側に特徴的な応力集中をみた.本研究結果は,症候性UCL 不全は肘関節内の繰り返す過剰なストレスの原因となっていることを示した.CT より得られた情報により,早期の関節内応力異常を発見できる可能性がある.
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