肺・胸膜に転移した sinonasal teratocarcinosarcoma の 1 例

2008 
背景 : Sinonasal teratocarcinosarcoma (SNTCS) は鼻腔・副鼻腔に発生するまれで予後不良な悪性腫瘍である. 今回, 転移巣である肺・胸膜病変の細胞像を得たので報告する.症例 : 49 歳, 男性. 主訴は左鼻出血. 頭部 MRI にて腫瘍は両副鼻腔に充満していた. その生検では, 未熟神経上皮組織を主に, 腺癌様細胞集団・未熟軟骨組織・平滑筋様組織が島状に出現しており SNTCS と診断した. 原発巣は局所放射線治療によりほぼ消失したが, 3 ヵ月後に多発性肺内転移・胸水貯留をきたした. 気管支と胸膜転移巣の擦過細胞診では短紡錘形から裸核状の異型細胞が散在性または弱い結合性で出現し, 分化の不明瞭な未熟間葉系細胞と考えられた. 明らかな上皮成分は認めなかったが SNTCS の転移に矛盾しなかった.結論 : SNTCS は組織診においてもその形態的多彩性のため, その診断は容易ではない. 細胞診のみでは確定診断は困難であるが, 構成細胞を詳細に観察すること, またできるだけ組織構築のわかる検体を複数部位から採取することが重要である.
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