The Visceral Vascular Involvements Accompanied by Arteriosclerosis Obliterans

1973 
閉塞性動脈硬化症では臨床的には四肢の動脈病変が中心となることが多く, 局所病変にのみとらわれがちであるが, その動脈硬化性病変は全身の臓器血管にも及ぶことが多いとされ, そのため予後はよくないと考えられる.著者らは過去10年間に東大第1外科および東京都養育院で扱った268例の閉塞性動脈硬化症患者について血圧, 心電図, 腎機能, 胸部, 腹部レントゲン撮影などの検査所見とさらに手術所見, 剖検所見を中心に閉塞性動脈硬化症の臓器血管合併症を考察し, 以下の知見を得た.1) 全例中高血圧症が7割, 高コレステロール血症が4割と多く, これらと閉塞性動脈硬化症との密接な関係が示唆された.2) 心電図異常, 眼底動脈硬化, 腎機能障害など脳・冠・腎動脈障害をきたしたものが129例 (48%) であり, 合併症としては臓器血管合併症が多く, 脳血管障害, 心筋硬塞, 動脈瘤, 腎機能障害, 狭心症など動脈硬化性病変が主因と考えられる疾患が多かった.3) 死因としては脳・冠・腎動脈障害によるものが65%を占め, とくに心筋硬塞21%, 脳血管障害19%と重篤な臓器血管合併症が直接死因とつながり予後を悪くしているようであった.4) 剖検例中の13例について考察した結果, 全例とも大動脈, 脳・冠・腎動脈に中等度から高度の硬化像を認め, 時に全身の臓器血管にも広範な粥状変性を起こし, 血栓閉塞のみられるものもあった.
    • Correction
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []