[Involvement of nitric oxide, which was synthesized by constitutive nitric oxide synthase, and prostaglandin on diarrhea induced by castor oil in rats].

ヒマシ油の下痢発現機序を検討する目的で一酸化窒素(NO)およびプロスタグランジン(PG)との関与についてラットを用いて検討した．ヒマシ油をラットに経口投与すると3時間以内に下痢が誘起された．NO合成酵素阻害薬であるNG-ニトロ-L-アルギニンメチルエステルを前処置することによりヒマシ油の下痢は有意に抑制され，レアルギニンの併用投与により回復した。誘導型NO合成酵素阻害薬であるアミノグアニジンの前処置は下痢に影響を及ぼさなかったが，誘導型NO合成酵素阻害作用とPG合成酵素であるボスホリパーゼA2阻害作用の両作用をもつデキサメサゾンの前処置は下痢を有意に抑制した．また，PG合成酵素であるシクロオキシゲナーゼの阻害薬であるインドメタシンの前処置も下痢を有意に抑制した．したがって，デキサメサゾンの下痢抑制作用はPG合成酵素であるボスホリパーゼA2阻害によるPG合成阻害作用によるものと考えられた．以上のことから，ヒマシ油の下痢の発現機序に構成型のNO合成酵素によるNOとPGの両者が関与していることが明らかになった．