神経変性疾患の細胞死とHippo pathway―神経変性はHippo pathwayで制御されるか
2014
◎Hippo pathway は“細胞増殖”と“細胞死”の両者を制御するシグナルである.著者らは神経変性疾患における細胞死のモデルとして,転写制御によって生じる神経細胞死を研究してきた.その結果,Hippo pathwayが関係していることが示唆されている.転写抑制性細胞死(TRIAD)として命名したこのプロトタイプは神経変性疾患の細胞死を説明しうる特徴をもっているのではないかと考えている1).TRIAD はクロマチン凝集やミトコンドリア膨化を伴わず,アポトーシスやオートファジー性の細胞死とは形態的に異なっており,さらに非常に緩慢に進行する細胞死であった.マイクロアレイ解析の結果,TRIAD においてYAP の神経細胞特異的な新規バリアントであるYAPΔC の関与が考えられた.YAPΔC の過剰発現は初代培養神経細胞におけるTRIAD を抑制し,さらに変異型Huntingtin により誘導される細胞死も抑制した.YAP はHippo pathway の最下流に位置する転写因子である.Hippo signaling はYAP をリン酸化し核移行を阻害するが,YAPΔC についてはよくわかっていない.また,核内での転写活性化作用についても同様である.本稿ではTRIAD を中心に,Hippo pathway と神経変性の関連を考察する.
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