私の膵外科·温故知新―拡大手術から縮小手術まで―

2009 
私自身が関わった膵外科30数年間の変遷,拡大手術から縮小手術までの種々の臨床経験と今後の課題を述べた.浸潤性膵管癌に対しては予防的拡大郭清の意義は少ないが,肉眼的治癒を追求するためには門脈合併切除を厭わず,治癒切除可能症例(StageIVaまで)を選別する必要がある.日本膵切研究会アンケート集計や私自身の経験からみてhigh volume center/surgeonでの膵手術の治療成績は良好であり,膵癌診療ガイドラインの推奨事項を強く支持すると共に膵外科専門医の育成や専門施設の設置を期待したい.膵縮小手術の概念は未だ明確ではないが,種々の疾患に膵機能温存目的に縮小手術を行ってきた.膵液漏などの早期合併症が問題となり,手術手技の向上に励むと同時に,手術適応や術式選択には慎重を要する.膵切除後の再建は正常膵でも膵腸吻合·no-stent法を行ってきたが,手技に精通すれば安全に施行可能であった.膵再建法に関する私見を提言してきたが,今後の膵外科の更なる発展を目指して「経験からサイエンス」への検証と評価を次代の膵外科医に期待したい.
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