A Case of Transomental Hernia in A 95-Year-old Woman.
2001
症例は95歳の女性. 開腹手術の既往なし. 主訴は腹痛, 嘔吐でイレウスと診断され外科転科となった. 小腸造影で小腸に滑らかな狭窄を認めた. その後, その肛門側に両端が狭窄した絞扼小腸ループ像が造影され2つの狭窄部は同位置で重なり合い, それより肛門側は造影されなかった. CT検査では腹水, 絞扼小腸像, 腸間膜の収束像を認めたが, 腫瘍など明らかなイレウスの原因を認めなかった. 以上より腸間膜や大網の裂孔による内ヘルニアと診断し, 開腹手術を施行した. Treitz靭帯より約130cmの部位から約80cmの空腸が直径約4cmの大網裂孔に嵌頓しておりこれを整復した. 術後経過は良好であった. 本症例では術前診断に小腸造影とCT検査が有用であった. 開腹歴のないイレウスの原因として内ヘルニアを念頭に置く必要があり早期診断が重要であると考えられた. なお, 本症例は本邦におけるこれまでの大網裂孔ヘルニア手術報告例の中で最高齢であった.
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