多臓器不全を来したIII度熱中症の管理において持続脳波モニタリングが有用であった1例(Usefulness of continuous electroencephalography in severe heat stroke complicated with multi–organ failure: a case report)

要旨 III度熱中症では，熱や循環障害などによる中枢神経障害や体腔臓器機能障害による代謝性脳症により意識障害を来す。しかし，いずれの病態により意識障害を呈しているかの判断は困難である。今回，持続脳波モニタリング（continuous electroencephalography: cEEG）を行い，三相波を認めたことから重症急性肝不全の診断に至り，人工肝補助療法を行い良好な転帰を得た症例を経験した。71歳の女性。意識障害のため搬送。III度熱中症と診断しICUに入室，cEEGを開始した。第2病日に肝機能障害を認め，第3病日に意識障害の増悪を認めた。第4病日にcEEGにて三相波を認め，急性肝不全による肝性脳症合併と判断し，人工肝補助療法を開始，その後意識障害の改善を認めた。熱中症においてcEEGは有用である。