シアノコバルト(II)錯体とチオアルコールおよびジスルフィドとの反応
1966
シアノコバルト(II)錯体とビタミンB12の反応化学的な相似性に関心をもち,まずシアノコバルト錯体と9種のチオアルコール,3種のジスルフィドおよび3種のスルフィド化合物との反応をスクリーニングした。その結果,チオアルコールとジスルフィド類はシアノコバルト錯体と反応し,70~95%の収量で新しい安定な付加錯体を生成すること,スルフィド類は反応しないことを見いだした。一例としてエチルメルカプタンとシアノコバルト錯体の反応生成物を取りあげ,化学分析および物理分析の結果から,構造式をK3[Co(CN)5(SCH2CH3)]であると推定し,その物理化学的性質を観測した。最後に有機イオウ化合物とシアノコバルト錯体との反応機構を配位子場の理論の立場から定性的に考察した。
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