Changes in the Palatability of Foods by Hydrostatic Pressurizing

1990 
加圧処理による食品の嗜好特性の変化を概括し,調理加工への応用可能性を検討する目的で米,大豆,馬鈴薯,甘藷,大根,人参,リンゴ,梨,柿,牛肉および鶏肉の11種の試料に5000気圧の静水圧を10分間かけ,官能および物理的特性の変化の測定および表面構造の観察を行った.官能検査により各食品の外観,におい,味およびテクスチャーについて未処理と加圧試料を比較した結果,米以外のほとんどの食品のいずれかあるいはすべての嗜好性要因に5%以下の危険率で有意差が認められた.外観については,各食品とも加圧により透明感が変化し,野菜および果物類では増加したが肉類では減少した.においは芋類および果物類で加圧により強くなった.味については加圧により甘藷,大根および果物類で甘味が強くなり,リンゴの酸味や人参らしさは減少した.テクスチャーについては,肉類を除く食品で硬さが減少し,特に芋類および根菜類ではしんなりとした食感が得られた.物理的特性として加圧処理前後の重量,色および硬さの変化を測定した結果,重量については野菜および果物類で若干減少したが,肉類ではほとんど変化しなかった.色については肉類ではLが増加したが,他の食品では低下した.テクスチュロメーターによる硬さは加圧により米および大豆でわずかに減少したが芋類,根菜類および肉類では増大した.果物類ではりんごが若干増加し,梨および柿で著しく減少した.さらにレオナーを用いて加圧した大根の破断荷重および破断距離を測定し,加圧大根とNaCl水溶液浸漬大根の物性が類似していることを認めた.走査型電顕による表面構造については,加圧した大根および馬鈴薯では大きな変化はみられなかったが,肉類では筋繊維間に間隙が生じた様子が観察された.0.5%NaCl水溶液を用いて,未処理および加圧大根を浸漬し,大根のNaCl濃度を測定した.未処理に比較して加圧した大根は著しく高いNaCl濃度を示したことから,加圧によって細胞膜の機能性が破壊されたことが推察された.また馬鈴薯では加圧処理後の褐変が著しく進行することを認めた,以上,加圧により食品の嗜好性は様々に変化し,加圧処理が加熱とは異なる新しい調理加工手段として広い可能性を有することが示唆された.
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