Case Report of an Early-onset Periodontitis Patient Showing Self-Arrest of Alveolar Bone Loss after Puberty.
2003
早期発症型歯周炎(侵襲性歯周炎)は, 全身的に健康であるにもかかわらず, 口腔内では比較的短期間に急激な歯周組織の破壊が起こることを特徴とする歯周炎である。疾患の重症度はビルレンスの強い細菌の関与や高い疾患感受性をもつ個人体質に依存していると考えられている。病状の進行に関しては, 若年期に急激な歯周組織の破壊が起こり, その後自然に停止する場合があると言われている。本症例報告では, 継続的な歯周治療が患者の都合によりほとんど施されなかった早期発症型歯周炎の一例について, 思春期前から18年間の臨床データを紹介する。患者は初診時11歳の女性。上顎前歯部の叢生を主訴に徳島大学歯学部附属病院矯正科を受診した。当時, 中程度の歯肉炎が認められたものの, 歯槽骨吸収像は観察されなかった。このとき患者は矯正治療の前段階として永久歯の抜歯が必要であると指摘されたため歯科矯正処置を断念した。6年後(17歳)に下顎左側第一大臼歯の疼痛を主訴に再来院した際には, 全顎にわたって重度の歯周炎が発症しており, 患歯をはじめ多数の部位に著しい歯槽骨吸収が生じていた。さらに, 21歳のときに再び下顎左側第一大臼歯に同様の症状を訴えて救急来院し, 同歯は抜歯に至った。その後, 治療は再び中断したが, 初診から18年後(29歳)に上顎大臼歯歯髄炎のため来院した際には, 歯肉の炎症や歯周ポケットが依然として残存していたものの, 歯槽骨吸収のさらなる進行はほとんど認められなかった。以上のように, この患者では思春期(10歳代)に急激な歯周組織の破壊が起こり, 思春期以後(17歳以降)に継続的な歯周基本治療を行っていないにもかかわらず, 歯周炎が大きく進行しなかったことが明らかとなった。本症例は従来言われていた「早期発症型歯周炎は自然に停止する場合がある」ことを示した興味ある報告と言える。
- Correction
- Source
- Cite
- Save
- Machine Reading By IdeaReader
0
References
0
Citations
NaN
KQI