HER2 がんの特徴と治療戦略(乳がん,胃がん,胆管がん,肺がんなど)
2019
HER2とは,human epidermal growth factor recepto(r HER)familyに属するチロシンキナーゼのひとつで,その増幅はさまざまながん種でがん化に関わる経路に影響していると考えられている.乳がんや胃がんでは,HER2 蛋白の過剰発現やHER2 遺伝子の増幅の有無が治療方針決定に関わっている.HER2 陽性の乳がんや胃がんでは予後が悪く,治療戦略ではHER2 蛋白に対する分子標的薬であるトラスツズマブなどが使用されている.さらに近年,がんプレシジョンメディシンの普及に伴って,ほかのがん種でもHER2 遺伝子の増幅や活性化変異が認められることが明らかになっており,その結果が治療方針決定に役立つ可能性が示唆されつつある.本稿では,HER2 陽性の乳がんや胃がんを含めたHER2 遺伝子の増幅や活性化変異を伴うがん,HER2 がんの特徴と治療戦略について概説する.
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