Laparoscopy-assisted Distal Gastrectomy for Gastric Cancer in Elderly Patients

はじめに : 高齢者胃癌患者における腹腔鏡下幽門側胃切除術（Laparoscopy-Assisted Distal Gastrectomy；以下，LADGと略記）の術後短期成績を非高齢者と比較し，その安全性と有用性を検討した．方法 : 対象は2001年1月から2009年9月までにLADGを施行した胃癌症例197例．70歳以上の高齢者群（63例）と70歳未満の非高齢者群（134例）に分け，患者背景や手術成績を比較検討した．またLADGを施行した197例に対して多変量解析を用いて術後合併症の危険因子を検討した．結果 : 術前併存疾患を有する頻度は高齢者群60.3%で，非高齢者群34.3%に比較して有意に高かった（p＜0.001）．手術時間は高齢者群で有意に短く（p=0.008），リンパ節郭清個数にも有意差がみられた（p=0.001）．術後合併症の頻度は，高齢者群4例（6.3%），非高齢者群7例（5.2%）と有意差は認められず，術後排ガス日や在院日数にも差はみられなかった．患者背景や術中因子の中から年齢，性別，BMI，術前併存疾患，手術時間，出血量，リンパ節郭清度，fStageの8項目を選択し多変量解析を行ったが，いずれの項目も術後合併症の独立した危険因子とはなりえなかった．考察 : LADGは合併症も少なく，術前併存疾患の多い高齢者に対しても安全に施行できる低侵襲な術式であると考えられた．